日本時間の12月17日の午前7時前、米軍と少数の英軍により、イラクの首都バクダットなどの軍事施設に対する巡航ミサイル「トマホーク」などを使った大規模な空爆を開始。この空爆はおよそ6時間ほど続いた。
 この軍事作戦は、砂漠の狐作戦と命名され、イラクによるUNSCOM(国連大量破壊兵器破棄特別委員会)に対する査察拒否に対する制裁処置として行われた。
 また、同じく日本時間の18日未明にもそして19日未明にも再び大規模な空爆を実施した。
 ラマダン(断食月)が19日午前11時前からはじまるので、それまでには終結すると思われる。
 そもそも今回の軍事行動の発端はイラクのバース党施設に対するUNSCOMの抜き打ち査察をイラクが拒否した事に対する制裁処置とされている。
 バトラーUNSCOM委員長の報告書がその決定的同動機と見られる。

 ホワイトハウスが今回の行動をどのように収拾付けるのかまだ不透明だが、この場合、国連が中心となって治めるのではなく、フランスが中心となって仲介作業を行うべきだと思う。ロシアでは感情的になりすぎて仲介には向かない。フランスが仲介となり、イラクの行動に対して連帯して責任を負うようにする。そして、今度イラクが約束を反故にすれば、フランスの顔にドロを塗るようにする。

 日本政府のいち早い支持表明には今回またこうした動きが遅れれば国内からも国外からも危機管理能力に対する疑問符を持たれる事を恐れたのと、北朝鮮に対する牽制の動きもあったと思われる。

 空爆された地域の映像が即日全世界の知るところとなっている。これが今後の世論の動向にかなりの影響を与えるのではないかと予想される。

 今回の米国の行動には北朝鮮に対する意図も入っているだろうと思われる。北朝鮮もフセイン大統領と同じように約束をしては反故にするという事を繰り返している。それに対する米国の苛立ちもだいぶあるだろう。

 イラクはフセイン大統領が徹底抗戦を呼びかけているが、クウェート侵攻や巡航ミサイルによるイスラエル攻撃などは一切やっていない。軍事的行動といえば、対空砲火だが、これは当然の処置であろう。
 そういえば、今回の武力紛争は、砂漠のキツネ作戦という軍事上の名前はあるが、湾岸危機や湾岸戦争といった、名称が3日目になってもついていない。これは、異常な事ではないだろうか。

 ロシアは今回ヒステリックにアメリカを非難するだけで、全然建設的な行動が取れていない。フセインの瀬戸際外交にアメリカがいらついていたのも知っていたはずなのにそれをなんとかしようともしなかった。
 アメリカは既にロシアというかエリツィン政権を見限っているのではないだろうか。そして、それをエリツィン側も感じているからこそ、外交上最も鋭い対応に出ているのではないだろうか。

 ラマダン入りした20日に第4次攻撃を行った後、午前8時過ぎにクリントン大統領は作戦の終了を宣言しました。

各国の反応
◎アメリカ
ホワイトハウス(大統領官邸)のクリントン大統領の指示により米軍がバクダットなどを空爆。キャピトルヒル(議会)の下院は17日に予定していた大統領の不倫もみ消し疑惑に関する弾劾決議を一時延期し、与党民主党及び野党共和党の賛成多数でイラク攻撃を支持する決議を採択。国民の支持率は60パーセントから80パーセントとなっている。
◎イギリス
ブレア首相は少数の英軍もアメリカと共に今回の空爆にトーネード(トルネード)爆撃機をクェートの基地から参加させた。国会の下院では与党労働党及び野党保守党共に今回の空爆参加の支持を表明。
○日本
小渕総理大臣と野中官房長官はいち早く今回の空爆への支持を表明。イラクに対して国連による大量兵器査察を即時無条件で受け入れるよう要求。また、空爆開始30分前に駐米大使に対して空爆に関する事前通告があった。
○カナダ
○韓国
米国との同盟関係から、また北朝鮮に対しての観点からも外交通商省が支持を表明。一方、17日夜には韓国南部で北朝鮮の潜水艇を韓国軍が撃沈するという事件が発生。
○ドイツ
△フランス
イラクに近い立場のフランスのシラク大統領とジョスパン首相は、フセインイラク大統領の行動が今回の空爆に繋がった事は認めるが、イラク国民への被害を憂慮。
△クウェート
明確な支持はなし。
△サウジアラビア
イラク自身が招いた結果。
△イスラエル
今回の動きから距離を取る考え。
×ロシア
イラクに近いロシアは今回の米英の空爆を激しく非難。エリツィン大統領は、在米英大使を召還。議会の保守系も激しく非難。
×中国
アメリカ主導の世界秩序に危機感を抱く中国は即時停止を要求。江沢民国家主席がアメリカへの書簡で憂慮を表明。
×イラン
米英の行動を激しく非難。
×アラブ首長国連邦
不支持を表明。
×バーレーン
不支持を表明
×カタール
不支持を表明。
×シリア
いち早く不支持を表明。

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